ライチョウのフンから採食植物を特定

 ニュースページにも掲載していますが、中部大学の藤井先生達が進めていた、ライチョウのフンから採食植物を特定するという取り組みが毎日新聞で取り上げられました。

 記事掲載後、一定期間過ぎると全文にアクセスできなくなってしまうので、魚拓は取ったのですが(画像保存すること)、魚拓をここに掲載してはいけませんので、どんな内容だったのかというご紹介にとどめます。

2016年~2018年 富山県北アルプス太郎山周辺にて環境省に許可を得て植物73種を採取し、DNAデータベースを構築。
これに対して2015年~2018年に同地域で採取されたライチョウのフン116個からフンに含まれた植物のDNAを解析して、植物のDNAと照合。
結果、ライチョウが採食した49種3属1科の植物の特定に成功。

 生物の分類は、界・門・綱・目・科・属・種という分類階級を持っていますが、このうち最も細かい種レベルで特定できたということはとてもすごいことです。
 これまで(筆者も含めて)ライチョウの採食物は目視(映像撮影した動画を解析する方法)で行われてきたが、小さな植物や画像から判別できない植物もありましたが、これを補完してくれるものになります。

 これによって、以下のようなことが今後判明すると期待されます。

①より詳細なライチョウの採食植物の季節性
 特定の植物に依らず、その季節季節で栄養価の高いものを選別している可能性

②ライチョウの採食植物の地域性
 棲んでいる地域の違いによって植生も変わるのであれば、同じ時期に異なる地域のライチョウが食 べているものも違うかもしれない。

 ようやく、二ホンライチョウの保全に資する研究成果が出てきたことをうれしく思います。

論文本文へのアクセスは

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0252632