三年寝太郎

3年越しの開花

ベランダで藤を育てるという無謀なことしているのですが。鉢植えで藤を咲かせるのは難しいことのようで。全然咲かないんですね。

育てているのは紫藤と白藤のニ種類で、白藤が実に3年ぶりに咲いたので「咲いたんです!」と写真を見せた知人曰く「これ、紫になるの?」なりません。

藤の花芽は夏季に分化し、剪定の際はその花芽を落とさぬようにせよと物の本には書いてある。けれども、そもそも花芽に分化してなきゃ意味がない。

10年以上前、ツキノワグマが里に降りてきて畑を荒らしまくったことが話題になり、原因は山に食べ物がないからだと考えられ、それはクマが食べているドングリやブナの実が凶作だったからだという話になり。

とある女子が、ブナの冬芽を剥いて、それが花芽になってるかどうか確かめようとした。そんなことを思い出しました。

ブナの木はでっかいので、枝を落とすこと自体が、とても大変。

そして、落としてきた枝に付いている芽を、、、一個ずつピンセットで剥いて、花芽か葉芽か判定すること数百数千。気の遠くなるような作業。

何がドングリやブナの豊凶を作り出すのかは議論があるところですが、枝にみっしりと付いたブナの芽を見て、生命の力強さを感じたとか感じなかったとか。

もしかしたら、ライチョウの食べているものにも豊凶はあるのかもしれません。中部大の上野先生のところでライチョウが食べるクロマメノキの栽培品種を育てているのですが、何がその豊凶を作り出すのか、なんとなくわかるまで何年もかかるでしょうし、証明するにはもっとかかるでしょう。豊作の年は、秋のライチョウの雛の栄養状態が良くて冬越ししやすくなるのではないか、なんて仮説をたてても、確かめるには何年もかかります。

通勤途中に藤を鉢で育てているお宅があって。去年は無茶苦茶奇麗に花を咲かせていて、通りがかるたびに、ちくしょう、いつか見てろよと謎の対抗心を燃やしていましたが、今年ほそのお宅の藤の開花はゼロ。謎です。COVIDー19のせいで、この3年は何にもできていないに等しかったのですが

3年も寝とったらば、3年分の力が出る。

かもしれません。

2022年5月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 黒五

ライチョウのフンから採食植物を特定

 ニュースページにも掲載していますが、中部大学の藤井先生達が進めていた、ライチョウのフンから採食植物を特定するという取り組みが毎日新聞で取り上げられました。

 記事掲載後、一定期間過ぎると全文にアクセスできなくなってしまうので、魚拓は取ったのですが(画像保存すること)、魚拓をここに掲載してはいけませんので、どんな内容だったのかというご紹介にとどめます。

2016年~2018年 富山県北アルプス太郎山周辺にて環境省に許可を得て植物73種を採取し、DNAデータベースを構築。
これに対して2015年~2018年に同地域で採取されたライチョウのフン116個からフンに含まれた植物のDNAを解析して、植物のDNAと照合。
結果、ライチョウが採食した49種3属1科の植物の特定に成功。

 生物の分類は、界・門・綱・目・科・属・種という分類階級を持っていますが、このうち最も細かい種レベルで特定できたということはとてもすごいことです。
 これまで(筆者も含めて)ライチョウの採食物は目視(映像撮影した動画を解析する方法)で行われてきたが、小さな植物や画像から判別できない植物もありましたが、これを補完してくれるものになります。

 これによって、以下のようなことが今後判明すると期待されます。

①より詳細なライチョウの採食植物の季節性
 特定の植物に依らず、その季節季節で栄養価の高いものを選別している可能性

②ライチョウの採食植物の地域性
 棲んでいる地域の違いによって植生も変わるのであれば、同じ時期に異なる地域のライチョウが食 べているものも違うかもしれない。

 ようやく、二ホンライチョウの保全に資する研究成果が出てきたことをうれしく思います。

論文本文へのアクセスは

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0252632

中央アルプスのライチョウ移植事業

保全生態学研究という学術雑誌に、このような論文が掲載されました。

学術提案 中央アルプスにおけるライチョウ移植事業の課題:
北米のライチョウ移植プロトコルおよび IUCN ガイドラインとの比較

長野 康之
新潟ライチョウ研究会、NPO 法人新潟ワイルドライフリサーチ

https://www.jstage.jst.go.jp/article/hozen/advpub/0/advpub_2031/_article/-char/ja/

ライチョウの移植事業がどうあるべきなのか、論理的かつ科学的に述べられています。

中央アルプスのライチョウの地域絶滅の原因が人間の開発による捕食者の増加にあるとしながら、その捕食者の生息状況の調査を十二分に行わなかったり、ライチョウの生息地としての評価を行わないままにライチョウの移植をしようとしたことなどをかなり鋭い切り口で議論しています。