サイト管理人のブログです。
掲載されている画像、動画は基本的には登山道から撮っています。
調査研究の一環として特別な許可を得て、登山道外に立ち入っているデータについてはその旨記載します。
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調査研究の一環として特別な許可を得て、登山道外に立ち入っているデータについてはその旨記載します。
COVID-19のせいでなかなか山にも入れず、県境も跨げずともどかしい期間でしたが、それでも中部大学で学生と先生たちは頑張ってくれています。
一方で、やはりライチョウを中央アルプスで飼いたい人たちは居るようで。
中央アルプスでライチョウが生息できるのは千畳敷カール周辺の限られた地域のみで、そこに移植したとして、そこで檻で囲ったとして、ライチョウを保護したことにはならないと考えています。誰も檻を見回らなくなったら? キャパシティに対して増えすぎてしまったら? 増えたライチョウが高山植物に高い採食圧をかけてしまったら? 同じ親から産まれた子同士で繁殖しても弱い子供しか産まれないって聞いたけど?
そういう素人考えでも色々思いつくのにさらに専門的に突っ込んでくださった論文を先日ご紹介しました。もいちど貼ります。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hozen/advpub/0/advpub_2031/_article/-char/ja/
日本生態学会の発行物です。ここに載っているということは、みんなちょっと考えましょうよ。
正直、ああ、良かったと思いました。真剣に考えてくださっている方たちがいたんだと、とても勇気づけられました。生態系というものを、そして野生生物保護を真剣に考えてくださっている先生たちはあのプロジェクトには近づかないでしょう。
本当にしなければいけないのは、私達がライフスタイルを見直し、企業が持続可能な経営に切り替えていくことです。そのためにどうするかを考えたいから「保護研究会」なのです。
ライチョウの生息地、、、北アルプスや南アルプスの深部に入ってライチョウが本当は何を欲しているかを探るのはとても大変です。アクセスのいいところでばかりライチョウを見てわかった気になってしまうのですが。山小屋のご支援で、なんとか山奥のライチョウを研究できています。
ライチョウをいかに保護したらいいのか一生懸命考えること自体が私達が地球と「うまくやっていく」ことになるのだと訴えるために、こうした地道な研究を進め、ライチョウについて知ってもらいたいと思います。
ベランダで藤を育てるという無謀なことしているのですが。鉢植えで藤を咲かせるのは難しいことのようで。全然咲かないんですね。
育てているのは紫藤と白藤のニ種類で、白藤が実に3年ぶりに咲いたので「咲いたんです!」と写真を見せた知人曰く「これ、紫になるの?」なりません。
藤の花芽は夏季に分化し、剪定の際はその花芽を落とさぬようにせよと物の本には書いてある。けれども、そもそも花芽に分化してなきゃ意味がない。
10年以上前、ツキノワグマが里に降りてきて畑を荒らしまくったことが話題になり、原因は山に食べ物がないからだと考えられ、それはクマが食べているドングリやブナの実が凶作だったからだという話になり。
とある女子が、ブナの冬芽を剥いて、それが花芽になってるかどうか確かめようとした。そんなことを思い出しました。
ブナの木はでっかいので、枝を落とすこと自体が、とても大変。
そして、落としてきた枝に付いている芽を、、、一個ずつピンセットで剥いて、花芽か葉芽か判定すること数百数千。気の遠くなるような作業。
何がドングリやブナの豊凶を作り出すのかは議論があるところですが、枝にみっしりと付いたブナの芽を見て、生命の力強さを感じたとか感じなかったとか。
もしかしたら、ライチョウの食べているものにも豊凶はあるのかもしれません。中部大の上野先生のところでライチョウが食べるクロマメノキの栽培品種を育てているのですが、何がその豊凶を作り出すのか、なんとなくわかるまで何年もかかるでしょうし、証明するにはもっとかかるでしょう。豊作の年は、秋のライチョウの雛の栄養状態が良くて冬越ししやすくなるのではないか、なんて仮説をたてても、確かめるには何年もかかります。
通勤途中に藤を鉢で育てているお宅があって。去年は無茶苦茶奇麗に花を咲かせていて、通りがかるたびに、ちくしょう、いつか見てろよと謎の対抗心を燃やしていましたが、今年ほそのお宅の藤の開花はゼロ。謎です。COVIDー19のせいで、この3年は何にもできていないに等しかったのですが。
3年も寝とったらば、3年分の力が出る。
かもしれません。
ニュースページにも掲載していますが、中部大学の藤井先生達が進めていた、ライチョウのフンから採食植物を特定するという取り組みが毎日新聞で取り上げられました。
記事掲載後、一定期間過ぎると全文にアクセスできなくなってしまうので、魚拓は取ったのですが(画像保存すること)、魚拓をここに掲載してはいけませんので、どんな内容だったのかというご紹介にとどめます。
2016年~2018年 富山県北アルプス太郎山周辺にて環境省に許可を得て植物73種を採取し、DNAデータベースを構築。
これに対して2015年~2018年に同地域で採取されたライチョウのフン116個からフンに含まれた植物のDNAを解析して、植物のDNAと照合。
結果、ライチョウが採食した49種3属1科の植物の特定に成功。
生物の分類は、界・門・綱・目・科・属・種という分類階級を持っていますが、このうち最も細かい種レベルで特定できたということはとてもすごいことです。
これまで(筆者も含めて)ライチョウの採食物は目視(映像撮影した動画を解析する方法)で行われてきたが、小さな植物や画像から判別できない植物もありましたが、これを補完してくれるものになります。
これによって、以下のようなことが今後判明すると期待されます。
①より詳細なライチョウの採食植物の季節性
特定の植物に依らず、その季節季節で栄養価の高いものを選別している可能性
②ライチョウの採食植物の地域性
棲んでいる地域の違いによって植生も変わるのであれば、同じ時期に異なる地域のライチョウが食 べているものも違うかもしれない。
ようやく、二ホンライチョウの保全に資する研究成果が出てきたことをうれしく思います。
論文本文へのアクセスは
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0252632
保全生態学研究という学術雑誌に、このような論文が掲載されました。
学術提案 中央アルプスにおけるライチョウ移植事業の課題:
北米のライチョウ移植プロトコルおよび IUCN ガイドラインとの比較
長野 康之
新潟ライチョウ研究会、NPO 法人新潟ワイルドライフリサーチ
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hozen/advpub/0/advpub_2031/_article/-char/ja/
ライチョウの移植事業がどうあるべきなのか、論理的かつ科学的に述べられています。
中央アルプスのライチョウの地域絶滅の原因が人間の開発による捕食者の増加にあるとしながら、その捕食者の生息状況の調査を十二分に行わなかったり、ライチョウの生息地としての評価を行わないままにライチョウの移植をしようとしたことなどをかなり鋭い切り口で議論しています。
びっくりするぐらい何も更新していませんでしたが、あっという間に年の瀬です。更新していないのは活動が滞っているからです。
実に2年にわたるCOVID-19のせいもあります。私がもし(一般人の立場として)ここに北アルプスに行ってきましたと書いたら、県境またいで移動するなとお𠮟りを受けそうですし、実際問題、それで山小屋でクラスターなんか発生させた日にはということもあります。(この2年間、感染に気を使いながら登山された方々をなんら非難するものではありません。単に私がリスクの高い地域にいるからです)
また、自身の仕事が忙しくてそれどころではなかったというのもあります。
2021年の自分自身の仕事で一件、温室効果ガス(GHG・・・Greenhouse Gas)に関わる仕事が舞い込んできました。温暖化温暖化言っていたのが、なぜかGHGという言葉にすり替わったのは、温暖化というと「自然保護団体!」というイメージだったのが、GHGというとなんだかとってもビジネス用語に聞こえるからでしょうか。
2021年は温暖化の問題が企業ビジネスに本格的に食い込んできた年でした。ノーベル物理学賞にもアメリカの真鍋さんが選ばれたのも象徴的です。
多くの人がもうGHGの問題と無関係ではいられなくなってきたという強烈なメッセージが、各国から、科学者から出されています。企業の側も、プラスチックを木材、紙に置き換えたり、石炭を使わないように努力したりと懸命さがうかがえます。安く、大量にという生産を考え直して、より環境負荷の低い製品が出てくれば、消費者としての私たちもエシカルに行動することができるようになっていきます。
2022年にはさらにこの流れは強くなっていくでしょう。
ということで、来年こそCOVID-19がおさまって、仕事も落ち着いて、山に登って山から自然を考えられたらと思います。