ライチョウに限った話ではないですが、野生生物研究は大変です。
野生生物の研究がしたいんです! というけったいな人がどれだけいるか知りませんが、大変だってことを列挙しておきたいと思います。
①見つからない
何がって、ライチョウが。見つけるコツ? そんなものは無いです。広大なフィールドをしらみつぶしに探すのです。
機材背負って、調査地ついて、1時間、2時間、3時間…うろうろうろうろと登山道沿いを探し回り(入林許可があるので登山道外も出るんですが、石の上や砂地を選ぶなど慎重です)、昼も過ぎ、今日は止め! ってところで、見つかったり。
足が痛くなること必至です。
②寒い、暑い、臭い
梅雨の高山の寒さと言ったらガタガタ震えるほどで。お金のない学生がそんなにいい防寒具持ってませんから、フリース重ね着に雨具着て、必死に耐える。硬い登山靴の中で、凍えるつま先。指先の感覚はなくなり鉛筆が持てなくなる。
かと思えば。梅雨が明ければ、夏の太陽が照り付け、肌を焼きます。高山は日陰が無いですしね。
そして、長期間高山に滞在しているので、髪はべたべた、足の臭いは言うには及ばず。ボディーペーパーで拭っても、衣類に汗と臭いがしみこみます。(犬小屋の臭い、と私は言ってます)そして、ボディペーパーのエタノールと日焼けで肌がかっさかさのがっさがさ。
③餓える
ごはんは山小屋でいただいてるんですが、下界と長期間隔絶されていると、下界の事物に飢えてきます。
現在は、山の中でもスマホの電波が入りますが、当時はほとんど入りませんで。
電波探すの大変でした。
④不安と失敗との戦い
データ取っていて、これで卒論書けるのかなぁとか。機材が壊れたり、データ取るのに失敗していたりというアクシデントが次々と襲い。しかし、時間は過ぎていくのです。
統計的に有意な結果を出すにはたくさんのデータ数が要るのですが、そのデータが集まらない。しかし、焦ったところでライチョウが見つかるとも限らず…
⑤金欠
学生にはカネと足がない。
足がないってのは幽霊ではなく、調査地に行く手段ということです。電車、バス乗り継ぐにしても機材が重いですし、お金もかかります。装備? ジャージですよジャージ。いまだに私はジャージとフリースなので(一部は当時の物をまだ着てます)、小屋番さんに「10年前と全く変わらんな」とあきれられてます。だって、山ブランドの衣類は平気で一万円とかしますからね。
というわけで。
ライチョウの研究をする=修行です。
あの辛い修行の日々のおかげで今でもサラリーマンできてます。あれに比べりゃ大抵のことは何とでもなります。はい。