奥日光の自然

中禅寺湖から男体山

日光東照宮から、いろは坂を登ったところにある中禅寺湖は標高1,269mです。
日光市街が標高約600m、華厳の滝を挟んで中禅寺湖が標高1,269m、竜頭の滝を挟んで戦場ヶ原が1,400m、湯滝を挟んで湯ノ湖が1,475mと、湯川に沿って滝毎に段々になっています。
高標高の湖で、寒冷な気候も手伝って貧栄養の湖ですので、元々魚はいなかったようですが、明治以降に持ち込まれたようです。(当時は生態系の攪乱なんて概念は無かったのですね)

一周25kmのこの湖を、私は8時間で踏破します。修行です。修行。頭を空っぽにして歩くにはちょうどいいんです。
特に南岸部はうねうねとした岬を回る退屈な山道で、全体の半分以上がそんな調子なので、すれ違った人も数名、といった具合です(それも一周する人はいないのでは)。
見どころは、この写真のように湖越しの男体山。それから、クリンソウが咲く千住ヶ浜の辺りです。

ひさびさに行って(3年ぶり?)少し驚いたのは、湖周辺で数多くの観光開発が行われていたことです。なるほど。日光駅から湯ノ湖に至るまで、T鉄道さんがバスでつないでいるし、東京から日光までは電車で容易にアクセスできる。多くの海外からのお客さんを呼び込めますね。

日光一帯の自然は寒冷な気候が生み出した景観です。標高が100m上がれば平均気温が0.6℃下がるというのが、私の学生時代からの常套句ですが、日光市街と中禅寺湖では3.6℃も差があるんです。
戦場ヶ原は4.8℃も低くなります。だから貧栄養の湖や高層湿原ができるのです。
温暖化したら高層湿原の有機物分解速度が上がって湿原が消え、中禅寺湖の透明な色も失せるかもしれません。