卒論と就活ルール

「就活ルール」令和4年春入社も現行維持 政府の連絡会議で決定

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191030-00000575-san-bus_all

ライチョウの研究の現場では現在も学生さんが活躍されています。

私が学生の頃(と書くとおじさんの昔ばなし)はライチョウに限らず野外で何か研究活動をする人たちの多くが、夏休みにデータを採るというのが普通でした。
演習林にこもったり、先生が行く調査に付いて行ってついでに自分のデータを採らせてもらったり。

ですが、現在は6月に面接解禁。
抱卵期のライチョウで何か書こうと思ったら、修士に進むこと前提になってしまいます。

じゃあ、いつ面接を解禁すべきか。
いつもいつでも採用活動就職活動、これがいいんじゃないかなと思います。
なんなら卒業してからゆっくりが一番いいと思います。

先輩たちが、超就職氷河期で心をボキボキと折られていくのを見てきました。そして今、その人たちを支援しようという政府の動きもありますが。

雇用システムを守る為。もちろん私は現在そういう雇用システムの恩恵に預かっていますが、一方で、既存の枠組みが維持できないほど人手不足です。ちょっと考えた方がいいと思います。

ライチョウ就職活動なくっていいなぁって、そんなことはありません。

生まれて翌年春まで生き残れるかがまず第一の関門。食べ物が少ない環境に生まれてしまっただけで、もうスタートから出遅れです。生まれた年の気候も問題で、ヒナの頃に柔らかい葉ッぱが出ているタイミングで孵化しなければ、秋まで持たないかもしれません。秋まで持ったとして、冬を越せるだけの羽毛と筋肉を蓄えられるかどうか。
そして、運よく春を迎えたとして、雌はいい雄に巡り合えるのか、雄はいい縄張りを獲得できるのか。より早く雪解けた場所を、できるだけ広く確保できれば、雌は産卵に向けてより多くの栄養を蓄えられます。そして、良い卵を産むことができます。

縄張り作り放題、生まれたヒナが全部育って繁殖に参加できる、そんな状況なら当然ライチョウ増えます。でも、増えないということは、どこかがおかしいのです。
何がどうなってんの、という。それはライチョウに訊いてみないといけないんですが。
現場に入れる学生さんが減っている…

ジレンマです。