「せいめいのれきし」

誰か教えて 僕たちは今
ほんとうに進化をしただろうか
この進化樹の最初の粒と
僕はたじろがずに向き合えるのか
―中島みゆき「進化樹」より

カンブリア紀、オルドビス紀、シルル紀、ペルム紀…という古生代の時代区分。みんな知ってるもんだと思ってたら周りの誰も知らなくて。なんでやろと思ってたら、たまたま某無印な雑貨店で再会したのがこの絵本です(なんで無印にあったのかはよくわかりませんが)。

「せいめいのれきし」こいつが私に地学生物を叩き込んだのです。
しかも、改訂版が出てるじゃないですか。

生物や地学は学説がめまぐるしく変化している分野です。私が幼い頃、中生代の大量絶滅は、火山説、ウイルス説、隕石説などがありましたが、現在はユカタン半島に落ちた隕石説に落ち着きました。最近は冥王星が惑星から外されたなんてこともありましたね。二畳紀がペルム紀に変更になったなんて知りませんでした。

この本の初版が1964年。東京オリンピックの年なのです。
それから私たちはどれだけの科学的知見を積み重ねてきたでしょう。

幼い頃は、石炭紀の鱗木の森の水辺で遊びたいなぁとか妄想していただけですが、おじさんになってからこの本に触れると、また別の感触があります。経理をやっているので、大きな数字を易々と読めることも関係しているかもしれません。
この絵本のページが語る年代を、ちょっと書き出してみました。
1場ごとに年代が進んでいきます。

4,600,000,000年前
4,560,000,000年前
4,000,000,000年前
2,500,000,000年前
541,000,000年前 カンブリア紀
485,000,000年前 オルドビス紀
443,000,000年前 シルル紀
419,000,000年前 デボン紀
359,000,000年前 石炭紀
299,000,000年前 ペルム紀
252,000,000年前 三畳紀
200,000,000年前 ジュラ紀
145,000,000 年前 白亜紀
66,000,000年前 古第三紀 暁新世 始新世
34,000,000年前 古第三紀 漸新世
23,000,000年前 新第三紀 中新世
5,300,000年前 新第三紀 鮮新世
2,600,000年前 第四紀 更新世
11,000年前 第四期 完新世
400年前
200年前
100年前
25年前
1年前
半年前
1月前
昨日
昨夜
今朝

現在に近づくに連れて、列車が駅に着くかのように減速していきます。
幼い頃にはなんで恐竜の話から、庭の話に? と不思議でしたが、わずかな時間(37年程度)をこの世で過ごした今ならわかる気がします。
これによって、この長い「せいめいのれきし」が、私の手元に迫ってくる、そういう効果があるのです。

ライチョウさんたちは白亜紀には登場していた先輩たちで(少なくともライチョウさんの祖先はいたはずです)、大量絶滅を乗り切って、今私たちと暮らしています。
ヒト属が現れたのは更新世の頃です。極言すれば、鳥類だけでなく、昆虫、爬虫類、頭足類など、地球の大先輩は沢山いるのです。
彼らはかつての地球の気候で繁栄し、現在は’なり’を潜めているにすぎません。
私たちもいずれはそうなるでしょうか。

46億年の歴史を背負って、いま生きている生物たちは進化系統樹の先端にいるのです。それをヒトの勝手でボキボキと手折ってよいものでしょうか。
みんな一緒に進化してきたはずです。食う食われるという関係を持つことで、地震、噴火、隕石、気候変動を乗り切り、かいくぐってきた仲間です。
今のペースで温室効果ガスを出し続ければ、あと数十年で46億年を台無しにしてしまうかもしれません。

たくさんの科学者が警鐘を鳴らしています。
もっと、耳を傾けてもよいと思います。具体的にアクションを起こすのは少数の科学者ではなく、大勢の私たちです。

2019年11月3日 | カテゴリー : エコライフ | 投稿者 : 黒五