地球温暖化が進行すると、今世紀末には北陸地方の豪雪頻度が高くなるというシミュレーション結果が東北大学、気象庁気象研究所、海洋研究開発機構、名古屋大学のチームによって示されました。
簡単に言えば、①温暖化によって日本海の冬季の空中への水蒸気供給量が増える②山岳地帯の上空では温暖化が進行しても0℃以上となるわけではない ということで、雪が増えるという仮説がシミュレーションによって補強されたということです(多分、もっと複雑な話ですが)。
「温暖化は証明されていない」とか言う言説も見られます。未来を予知するのには膨大な知見の収集と多くのシミュレーションが必要であるし、当然幾通りもの未来が見えます。
その不確かさを考えたとしても尚、現在の温暖化は人類のせいであるというのが「今のところ」多くの科学者が出した結論です。そして、人は地球上の生物、環境から多くの恩恵を受けており、これを人間が変えてしまうことは私たち自身の種の存続が危うくなるから今、行動を起こしましょうという提起がなされています。
もし、今まで通りの自然環境の恩恵を受け続けたいなら、私たちが生き方(ライフスタイル)を変えなければいけませんよ、というのがCOPで議論されている事なのです。証明されたときには手遅れだよ、だから先手を打つんだよ、と。
この「生き方を変える」というのが厄介です。
大西洋をヨットで渡るとか、家の中全部太陽光発電で賄うとか、だいぶディープな活動家の皆さんが叩かれがちなのは、「みんなにそれをやれっていうのか!」「非現実的だ!」という素朴な反発心の表れとともに、私たちは根源的に自分のライフスタイルを変えたくはないし、他人にとやかく言われたくない生き物であるということです。
部屋を片付けなさいと言われて息子が片付けないのと同じです。ちょっと違うか。
もちろん、人間以外の動物だってそうです
ライチョウもライフスタイルを変えて進化することは無理なので、今こんなことになっているのです。
温暖化によって、高山の雪が増えるか減るかしてもライチョウのライフスタイルは変わりません。もちろんライチョウが採食している植物のライフスタイルも変わりません。しかもライチョウも高山の植物も寒冷地の物なので、山の下方向への逃げ場はありません。だから環境が変わっても、変われない彼らは行き場を失います。
雪が増えたとしたら何が起きるのか、それとも起きないのか。
いくつか考えるべきことがあります。
・積雪期の積雪深
・融雪期の融雪速度
多く積もって一気に溶けるパターン、多くなるから数十年前のように溶けるのに時間がかかり8月まで雪田が多く残るパターン。この二通りのどちらかに寄っていく(と仮定する)。そうすると、
・植物が露出する時期
が変化します。前者なら大きなお花畑が一気に出現するようになり、後者ならお花畑が融雪線に沿って進行していきます。
恐らく、ライチョウの雛の採食物を考えた時に都合がいいのは後者です。
じゃあ、どっちのパターンなんだということですが、はっきりとは言えません。データが無いのです。
ですが、100年前よりライチョウが減っているとしたら、たぶん前者なのです。高山の積雪深を計るのは容易ではないのですが、今回の発表からすれば100年前より積雪量は増えているのでしょう。けれども雪が溶けるのも早い。そうなってしまったのではないでしょうか。
ライチョウも植物もライフスタイルを変えることはできません。
けれども人間はライフスタイルを変えてきました。変えた結果、幅を利かせるようになってしまいました。けれども、良い方向に変えることもできるのです。
ほんの少し、誰かの為に、できることから、行動を変えてみませんか?