台風の爪痕

野球場に流木があると邪魔だと思う

栃木県某市が被災して。たまたま私はそこの事業所の経理をやっていて。必然的に出張で行くわけですが。

着いてみれば河川敷に流木、土砂、ゴミ。洪水(砂防用語で洪水と言ったときは、普段より多い水量という意味です)の凄まじさがわかります。

幸いにして知り合いは無事、とはいきませんでした。床下浸水、床上浸水、車水没。心からお見舞い申し上げます。

帰りに、土手で犬の散歩をしていたおばさまに捕まり(私は見ず知らずの人に話しかけられる率高いです。野生生物を目撃しやすいのと無関係ではないかもしれません)、いやーすごいですねー、としばらく話し込んでしまいました。

渡良瀬川は、カスリーン台風で決壊しており、今回はどうだろうと冷や冷やしていたんですが。

「ほら、Kダムができたじゃない。そのおかげよ」某市民的にはKダムに感謝しているらしいことがわかりました。

Kダムって、うちの大学の演習林のとこだなぁ。なんだか懐かしくなります。

私達は自然が荒ぶる時とても無力です。砂防堰堤も、遊水池も、高規格堤防も、今回は耐えた。これらの砂防構築物は確率的に300年に一度(計画にもよりますが)という洪水に備えています。

確率的に、というのは過去のデータから…ということです。これから300年に一度のすごい洪水は100年に一度になってしまうかもしれない。10年に一度になってしまうかもしれない。

「天気の子」という映画がヒットしました。遠くない未来にあんな世界になってしまうかも知れませんね。

2019年10月16日 | カテゴリー : エコライフ | 投稿者 : 黒五

予防原則

あと1mで越水

大学では林学を学んでいましたが、とりわけ砂防関連の授業は印象的でした。各地の砂防堰堤や堤防を見学に行った中で「脱ダム宣言だとか、300年に一度の洪水の為の堤防なんか要らないと言われるけれど、ひとたび大水が出たならこれが何万人もの人の命を守るんです」、と。現場の方が仰っていたのが印象的でした。

今回、荒川も利根川も溢れなかったのは、八ッ場ダムのお陰だけでもないでしょう。数多くの砂防堰堤が土砂や流木を上流にとどめて水だけを下流に速やかに流してくれたのです。江戸時代の人たちが、荒川放水路を造ってくれたから、都心部は守られたのです。沢山の人達の100年の努力が無かったら、私も生きてはいられませんでした。なにしろ、利根川、荒川、多摩川が決壊すれば、関東平野のどこにも逃げ場はないんです。

予防、というのは安全の基本です。山でも「危険に出会ったら」より「危険に遭わない為に」多くの勉強をします。

今後、温暖化の進行に伴い、このようなスーパー台風がやってくる頻度は高くなると予測されています。「温暖化仮説は嘘だ」と賢しげに言って何もせず、温暖化の影響が出始めて、それから対策したのでは持続可能な発展など望めもしないでしょう。

予防することです。

コンビニでマイバッグを取り出すのが恥ずかしい? そんなこと言ってる場合ですか。できることから、コツコツと、です。

2019年10月14日 | カテゴリー : エコライフ | 投稿者 : 黒五

ライチョウ調査は大変だ

ライチョウに限った話ではないですが、野生生物研究は大変です。
野生生物の研究がしたいんです! というけったいな人がどれだけいるか知りませんが、大変だってことを列挙しておきたいと思います。

①見つからない
 何がって、ライチョウが。見つけるコツ? そんなものは無いです。広大なフィールドをしらみつぶしに探すのです。
 機材背負って、調査地ついて、1時間、2時間、3時間…うろうろうろうろと登山道沿いを探し回り(入林許可があるので登山道外も出るんですが、石の上や砂地を選ぶなど慎重です)、昼も過ぎ、今日は止め! ってところで、見つかったり。
 足が痛くなること必至です。

②寒い、暑い、臭い
 梅雨の高山の寒さと言ったらガタガタ震えるほどで。お金のない学生がそんなにいい防寒具持ってませんから、フリース重ね着に雨具着て、必死に耐える。硬い登山靴の中で、凍えるつま先。指先の感覚はなくなり鉛筆が持てなくなる。
 かと思えば。梅雨が明ければ、夏の太陽が照り付け、肌を焼きます。高山は日陰が無いですしね。
 そして、長期間高山に滞在しているので、髪はべたべた、足の臭いは言うには及ばず。ボディーペーパーで拭っても、衣類に汗と臭いがしみこみます。(犬小屋の臭い、と私は言ってます)そして、ボディペーパーのエタノールと日焼けで肌がかっさかさのがっさがさ。

③餓える
 ごはんは山小屋でいただいてるんですが、下界と長期間隔絶されていると、下界の事物に飢えてきます。
 現在は、山の中でもスマホの電波が入りますが、当時はほとんど入りませんで。
 電波探すの大変でした。

④不安と失敗との戦い
 データ取っていて、これで卒論書けるのかなぁとか。機材が壊れたり、データ取るのに失敗していたりというアクシデントが次々と襲い。しかし、時間は過ぎていくのです。
 統計的に有意な結果を出すにはたくさんのデータ数が要るのですが、そのデータが集まらない。しかし、焦ったところでライチョウが見つかるとも限らず…

⑤金欠
 学生にはカネと足がない。
 足がないってのは幽霊ではなく、調査地に行く手段ということです。電車、バス乗り継ぐにしても機材が重いですし、お金もかかります。装備? ジャージですよジャージ。いまだに私はジャージとフリースなので(一部は当時の物をまだ着てます)、小屋番さんに「10年前と全く変わらんな」とあきれられてます。だって、山ブランドの衣類は平気で一万円とかしますからね。

というわけで。
ライチョウの研究をする=修行です。
あの辛い修行の日々のおかげで今でもサラリーマンできてます。あれに比べりゃ大抵のことは何とでもなります。はい。

固定ページ作業

ニッコウキスゲ

ここ数日ブログを書いていませんが、別のものを書いてます。
固定ページネタです。
理事長(恩師)が「会としての方針とか、主張とか書かなあかんやろ」というので、私が作業してます。

とりあえず、まず、いつも通り自分の思うままに難しい話を書いて、それを中学生ぐらいなら読めるかな~というところまでリライトしようかなという感じですが。
どうのこうのお詳しく書いているとどんどんどんどん冗長になっていって、私は何を書きたかったんでしたっけ、という。

それから、もう一つには。
多少角が立つようなことを書かなければいけないのかなぁという。
(角が立つようなこと=最近のニホンライチョウを取り巻く一連の動きに対する当会の意見)

他所のNPOさんのページなんかを拝見していると、主義主張をはっきりさせておられる団体さんもあります。NPOだからこそ行政や研究機関とは異なる意見もしっかりとやらなきゃいけないのかもしれません。
そして、当会の方針は科学的事実に基づいて議論する、ということですから、科学的に誤った保護活動に警鐘を鳴らすのも役割だと思ってはいます。
ただ、なぜか、野生生物の話になると皆さん本当に極端に、そして感情的に突っ走る(例:シカは絶滅させていい、捕鯨は野蛮だ、ライチョウを食うサルはけしからん、等)傾向にあって、ちょっと怖いのです。

お願いです。もっと科学的に、もっと身近にエコライフしましょうよ。
そこから始めましょうよ。
「ライチョウ保護を考えることが私たち自身の持続可能な発展につながっていく」というのが当会の考え方です。

ライチョウって、平和な鳥ですしね。

というわけで、目下思案中です。

暑いんだってば

パッカーーーー

親子そろって、砂浴び。
で、砂が熱いもんだから、くちばしがパッカーーーーパンティングしてます。

それにしても、あれですね。暑くっても、シャワーは浴びたいんですね。そういうもんです。

まじめな話、ライチョウだって熱中症になります。
(あなたの家の犬だって、オカメインコだって熱中症になるでしょう?)
特に雛は体温調整能力が低く大変です。それは私たちの人間の子供も同じこと。

ということは、8月まで雪渓が残っているということは、ライチョウにとって大きなアドバンテージです。南アルプスのライチョウが減った理由の一つかもしれません。

ライチョウを保護する…ということは、高山生態系を保護する…すなわち、温暖化を食い止めるために私たちは何ができるかというのを考えることです。
それは難しいようだけれども、簡単なことです。
多くの人が賛同し、アクションを起こすことです。
誰かヒーローがいて、何かしてくれるのではなく、行政が何とかするのでもなく、何かするのは私たち、町に住んでいる一人ひとりです。

ビッと引っ張るマイバッグ

スーパーのレジで「フクロイラナイデス」という呪文を唱えるようになって、結構経ちます。
先日「フクロイラナイデス」と言いながら、バッグを取り出して広げていたらレジのおばちゃんが「あ、それ、朝のテレビでやってた。一番売れてるんだって!」「へ? そうなの?」

商品名Shupatto たたむのめんどくさくてマイバッグに挫折していた私を助けてくれた、商品です。
ビッと引っ張ると帯になって、クルクルすれば小さくなります。

プラスチックごみが問題になっています。
なぜ、というと一言で言えば中国がまじめに環境問題に取り組みだした結果です。
日本も、欧州も、ゴミを中国に輸出していました。

中国は、例えば低質な古紙を買い、紙を作り、その古紙から出てきたプラスチックを焼却し、あるいはプラスチックごみを買い取り、リサイクルできる部分はリサイクルし、できない部分は焼却し。。。と世界のリサイクル(カスケード利用)の受け皿となり、最終的に使えないものを処分してきました。

言ってみれば、世界の最終処分場でもあったわけです。
結果、中国の大気汚染は深刻化します。そこで、これではいけない、と、中国はゴミの輸入を辞めることにしました。
そして、日本の産廃焼却場はプラスチックごみであふれかえることになりました。

。。。私たちは、温暖化や地球環境の問題をどうのこうのと言いながら、プラスチックの利用を減らすことをせずに、最後の処分を中国に任せて、見ないふりをしてたんじゃないかなと思います。

マイバッグで減らせるプラスチックはわずかですが、みんながそうすればずいぶんな量になります。
リデュース(減量)、リユース(再利用)、リサイクル(再生) 一番目のリデュースが一番大事だというのに、リサイクルに偏重していたのは、それは儲けの構造ができやすいからかもしれませんし、消費者もそれに乗って「リサイクルすればいいんでしょう? 分別すればいいんでしょう?」と思っていたからかもしれません。

プラスチックの焼却は、温暖化とも無縁ではありません。プラスチックの利用を減らすことがライチョウの保護につながるのだと思います。

身近なところから、やりやすいことから始めましょう。