抱雛

過去の写真や動画を漁っていると、10年以上前の私の姿があって白目剥いたりします。
それはともかく、大学4年生の私の卒論テーマは、ライチョウの抱雛(ほうすう)でした。
寒くなれば、おかあさんのおなかの下に雛が潜り込むのですが。寒いったって、晴れてて寒い時も、曇ってて寒い時も、風が強くて寒い時も、雨で寒い時も…寒いも色々だろ、ということで調べてみました。
結果、10分も温まればいいみたいです…で、寒ければ寒いほど、抱雛の頻度が上がる=お母さんの腹の下から出てくる時間が短くなる、ことがわかりました。

え? 当たり前?
でも、それをちゃんと科学的に調べるってのが大事なんです。

育雛初期に梅雨が長引けば、雛の採食時間が十分ではなくなるかもしれないんです。今年は長梅雨でした。ちょっと心配ですね…

ライチョウに必要な物

富士山!

私にとって、8月と言えば富士山です。初めて登ったのは小学生の頃で、以来、夏と言えば富士山というイメージです。

富士山は過酷な山です。
まず水がない。正確に言えば、山頂付近は万年雪があって、火口に池もできているのですが。。。近年は山頂域の永久凍土も後退しているとの報告もありますし、実感として万年雪も量が減ってきている気がします。

そして、植生がない。あまりの強風で、カラマツは這いつくばり、5合目より上はオンタデばかりです。冬は水分が凍結することによる乾燥、夏も保水力の無いスコリア斜面では植物や蘚苔類が十分に生育できないのかもしれません。
(植木鉢の土に富士砂を混ぜて水はけをよくするぐらいですから)

で、ここにライチョウを放ったらという人がいるんですが、こんなところはライチョウにとっては砂漠も同じです。食べ物がないし、隠れる植生もありません。
しばしば勘違いされていますが、ライチョウは高山の鳥ではないのです。たまたま日本の高山が、ライチョウの生存に(辛うじて)適していたから、生き残れたというだけのことで、本来は周北極地域の草原の鳥なのです。高山あることではなく、気温や植生が重要です。

全く同じことが他の山でも言えます。
ライチョウにとって、「必要な物」が失われたら、そこの山のライチョウは絶滅します。
すなわち、今、ライチョウが地域絶滅した山域というのは「必要な物」が欠けてしまっているのです。
それがなんだったか。。。私たちはライチョウに訊いてみなければいけないのです。それが、調査研究をする、ということだと思います。

ここは俺の砂場だ! 2

で、アタシもアタシもとやってきた妹(?)をつつきだす…

ね、幼稚園児みたいでしょ?

野生生物に対する目線というのはいろいろあると思いますし、自由なんですが、私の場合は、私たちとライチョウを重ね合わせることのほうが多いように思います。

彼らと一緒に生きていくためには人間が生き方を変えた方が良いのです。でも、賢いはずの人間だけが自然とのつきあい方を忘れてしまったから、もう一度ライチョウさんに教えてもらうのです。

ここは俺の砂場だ! 1

この動画は特別な許可を得て撮影されています。

どうも、こう、ライチョウを見ていて、神秘とか、奇跡とかいう枕詞をつける気にはなれないのです。
例えば、犬や猫等の愛玩動物がそうであるように、時折見せる人間臭い所作にこそ感動があるのではないかと思います。

ライチョウは、私たちも共感できるようなしぐさを時折見せてくれます。それで親近感がわくのです。

さて、動画は砂浴びというか、土浴びを始めた幼鳥です。
全然浴びれてないし、どちらかというと砂遊び。

暑いんだってば

パッカーーーー

親子そろって、砂浴び。
で、砂が熱いもんだから、くちばしがパッカーーーーパンティングしてます。

それにしても、あれですね。暑くっても、シャワーは浴びたいんですね。そういうもんです。

まじめな話、ライチョウだって熱中症になります。
(あなたの家の犬だって、オカメインコだって熱中症になるでしょう?)
特に雛は体温調整能力が低く大変です。それは私たちの人間の子供も同じこと。

ということは、8月まで雪渓が残っているということは、ライチョウにとって大きなアドバンテージです。南アルプスのライチョウが減った理由の一つかもしれません。

ライチョウを保護する…ということは、高山生態系を保護する…すなわち、温暖化を食い止めるために私たちは何ができるかというのを考えることです。
それは難しいようだけれども、簡単なことです。
多くの人が賛同し、アクションを起こすことです。
誰かヒーローがいて、何かしてくれるのではなく、行政が何とかするのでもなく、何かするのは私たち、町に住んでいる一人ひとりです。

暑い!

涼みたい

暑さ対策、どうしてますか? 帽子? 日傘?
私は水風呂で体から熱を取り去ってます。

ライチョウは口からしか熱を逃がせない。鳥には汗腺がないんです。

ではどうするか。
写真は私の知る限り、ライチョウがMAXで避暑している姿です…
この他、大きい岩のスキマ、イワイチョウの群落の中(イワイチョウって水分多いのでひんやりしてます)など、少しでも涼しいところを求めているようです。

晴れの日にライチョウを見かけない?
当たり前です。
私たちだって、コンビニやデパート、地下街、イオンに逃げ込みますからね。

猛禽に見つかりやすいどうのこうのより、まず暑いんだと思います。
暑さで脳みそが煮えて不可逆変性し、フラフラになったらそれこそ猛禽の餌食です。

梅雨明け十日

はぁはぁ

朝から梅を干していました。
昨年から始めましたが、梅仕事をしていると梅雨明けに梅を干さなきゃと、天気に敏感になりますね。

梅雨のライチョウ雌成鳥は寒さから雛を守るという「抱雛」という行動をとりますが、、、
梅雨が明ければ、夜以外は抱雛も必要なくなり(もちろん、高山ですから寒いときもありますよ。そういう時は昼でも抱雛します)、むしろ暑さとの戦いになります。

まず、ライチョウさんは地面付近にいます。ベビーカーに乗せた子が暑がるのと同じです。地面の照り返しって暑いんです。
そして、鳥は汗腺がないので汗かきません。そこで、焼いたハマグリみたいにくちばしをパカーッと開いて、呼気によって放熱します。これをパンティングといいます。

カラスも口開けてだるそうにしてますね…彼らは黒いですし。余計暑いかもしれません。

ライチョウの場合、夏仕様とはいえ分厚い羽毛もあります。もともと周北極地域の鳥ですから、彼らにしてみれば日本の高山も熱帯の密林のようなものかもしれません。

ライチョウに出会ったら

じっと見守って!

幸運にもライチョウに出会ったらどうすればよいでしょう。

ライチョウを間近に観察したければ、まずはあなたは石のように動かないことです。音を立てないよう、じっとしていましょう。
登山道から外れてはいけませんし、餌をあげておびき寄せるようなことは絶対にしてはいけません。

ライチョウが移動している場合は、大きく大きく回り込むように、ゆっくりと移動してください。
運が良ければ、彼らはあなたの足元を通り過ぎてくれるかもしれません!

けして彼らに触れてはいけません。
彼らは今のところ、私たちにナチュラルな姿を見せてくれますが、私たちの誰かが彼らを追いかけまわしたり、驚かせるようなことをすれば、彼らは私たちから逃げ回るようになってしまうでしょう。

ライチョウに出会うには?

ライチョウの話をしていると、「見てみたい」という方にも遭遇します。
ライチョウに会うにはどうすればいいんでしょう?

確実に、どうしても見たい! というのであれば、生息密度の高い立山室堂に行くのがおすすめです。うじゃうじゃいます。

その他の山では会えたり会えなかったり。
ただ、こういうところに差し掛かったらもしかしたら会えるかもしれません。


①なだらかな草原(黒部五郎のカール、雲ノ平等)
②狭い稜線で草原があるところ

なんでかというと、基本的に草原で採食をしているからです。
なだらかで広い草原が広がる地域は、室堂のように生息密度が高いので、遭遇率高めです。
また、稜線が狭いところは、生息密度は低いものの他に行きようがないので、登山道で目撃しやすいです。ええ、こんな稜線で? ってところで遭ったりします。

逆にこんなところはあんまりいません。
①一面ハイマツの海
②広い岩礫地
居ないわけではないんですけど。
基本的に食べる物無いですからね。

たまに、ライチョウが生息していない山(絶滅したか、生息密度の低い山)に他の山から移植したらどうかという意見が聞かれますが、食べモノがないところに放鳥しても死んじゃいます。

富士山とか絶対無理ですからね

ライチョウのまぶた2

動画バージョンあげておきます。
登山道から、コンパクトカメラでここまで寄れるのに、ご本人はこれだけリラックスされておられるという、神の鳥の貫禄です。

鳥なので視界の範囲はとても広いと思われますが。
サラリーマンに免疫があるのかもしれません。